
あまおうはどんなところで育つのでしょう。八女郡黒木町の生産者、仁田原寿郎・由美子さん夫婦を訪ねました。
馬渡地区のなだらかな谷あいには、10数棟のイチゴハウスが建っています。なかは適度な湿気と暖かさ。11月から翌年6月まで、あまおうはハウスの中ですくすくと育ち、消費者のもとへ届けらます。

寿郎さんは三人兄弟の長男。父の後を継いでお茶、タケノコ、しいたけ栽培に従事。しかしバブル崩壊の頃から価格低下、中国産の安価な野菜に押されるようになりました。このままでは農家としてやっていけない。同じ地区内の4、5人と思い切って始めたのがイチゴ(品種名:とよのか)のハウス栽培でした。初めて手にしたイチゴ苗。仲間と一生懸命育てました。ハウスは2棟で1400万円。3、4人の共同申請で700万円の補助金が出ました。「まだ30代でバリバリやったが、精神的にはまだ自信がない頃。資金もない。持ち山の杉を切って売ったりJAから借りたり。迷いもあった。でも最後は“もうみんなでハマる(のめり込む)しかねえな”ってことになって。」

剣道に励む息子3人を育てながらのイチゴ栽培。「剣道の試合でイチゴのスケジュールを立てていたようなもの(笑)。土日に大会があれば、イチゴの段取りをそれに合わせて。たった一日で手遅れになることもありますからね。お陰で仕事にメリハリがつきました(由美子さん)。」「うん。子供たちがいたからがんばれた。」
そして生産仲間との協力も不可欠でした。とよのかの生産を始めた頃、月に何度も各家のハウスを見学し、育成方法を勉強しました。「一人では何も解決せんですわ。仲間は家族のように話し合い、協力する。」ある冬、大雪で仲間のハウスがつぶれる出来事が。そのまま夜になれば実が凍り、出荷はストップ。全滅すれば一年の苦労が水の泡。仲間が全員駆け付けました。20人で一日かかる大仕事。しかも30センチの積雪。ハウスを一度解体し、組みなおしました。「協力は当たり前。仲間の苦労は人ごとじゃない。わたしたちも随分助けられてきた(由美子さん)。」「助け合うこと。それがほんとに喜ばしい。みんなでわーわー言って、母ちゃんたちも一緒に飲むのも楽しい。」

福岡県では5年前から、イチゴの品種をあまおうへ切り替えました。「TとよのかUとTあまおうUは、“わたし”と“他人”ちゅうくらい……変な表現かな(笑)。でも全然性格がちがう。」努力の末に身につけた経験が通用しない場面も。仁田原さん夫婦にとって新しい挑戦の日々が始まりました。一番力が入るのが育苗時期。いい苗ができると気持ちが奮い立ちます。出荷までの張り合いにもなります。今は仲間と試行錯誤しつつ、よい苗作りに励んでいます。

「11月から6月までのシーズン中、おいしいあまおうを届けたい。消費者のみなさんに、新鮮なイチゴを楽しんでほしい。」イチゴ部会で徹底しているのは、もちろん安全・安心と消費期限!「店頭であまおうが買われていくのを見るのも勉強です。潰れがないか、みなさんパックをひっくり返してますね(笑)。きれいな姿で出荷させたいと思います(由美子さん)。」まだまだ高級品のあまおう。今後は価格を抑え、通年で出荷したい……。仁田原さん夫婦にとっての大きな目標です。


福岡県の産地はほぼ県全域で、生産量は12,500トンで栃木についで全国2位です。主な販売先は、7割が関東・関西へ、あとは福岡県内のスーパー等で販売されています。
 
福岡県の農産物は、中国や香港、台湾でも人気です。その中でも「博多あまおう」は、あかくて、艶があり、大玉で、見た目が綺麗だということで、ファンが拡大しており、日本全体のイチゴ輸出量の8割(H18輸出量51・7トン)を占めています。香港での1パックあたりの価格は約100香港ドル(1,500日本円)と高めですが、スーパーでの人気商品です。また、日本産イチゴとして始めて太平洋を越えてアメリカへの輸出も実現しています。
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